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ブレーキに関する質問

ココでは現代の技術で作られたステンレス製ディスクとシンタードパッドの場合。と限定してお話します。ブレーキディスクメーカーとしてはサンドペーパーで磨くは基本NGです。
そもそも「ペーパーで磨くと良い。」というのはどこからきたのでしょうか?恐らくそれはそれまで使用していたパッドの被膜をペーパーで磨いて落とす事で、新しいパッドの性能が発揮される。と言うところからでは無いかと思われます。
確かにディスクの表面には「シンタード被膜」といわれる被膜が定着します。これは色んな材料を混ぜ合わせて焼き固められたブレーキパッドの成分が、摩擦による高温下でディスク表面に定着し、ディスクへの攻撃性を低くしたりして摩擦をコントロールしたりしています。
シンタードパッドにとって重要なシンタード被膜ですが、これはペーパーで磨かないと落とせないモノでしょうか?そんなことはありません。新しいパッドに交換した際、きちんと慣らしを行う事で新しいパッド本来の性能が発揮されます。
ディスクとパッドは摩擦によって互いを消耗させながら作用しています。慣らしに多少時間がかかる事はありますが、新しいパッドが取付られても同じ様に機能します。
ディスクとパッドの馴染みはQ5でも説明しましたがとても重要です。その馴染みは人間の手によって磨かれる様な精度では再現できません。
しかし例外はあります。ブレーキジャダーの原因となるヒートスポットなどを除去を目的とし、レースなどの現場において急遽対応しなければならない時などは、十分注意を払いながらペーパーがけを行う事もあります。

サンスターのレーシングブレーキパッドとの組わせはオススメです。しかしレース用ブレーキパッドなので街乗りで使う場合は別のパッドを選びましょう。
街乗りメインで使用する場合、純正パッド、またはよく聞く銘柄のパッドがおススメです。純正パッドがおススメ?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、純正パッドは車両メーカーの厳しいテストをクリアし、その車両コンセプトに合わせたブレーキフィーリングが再現されています。ほとんどのビッグバイクはシンタードパッドが標準で装着されています。この場合レジンパッドでは無くシンタードパッドを選びましょう。
またインターネット通販などで安価なパッドが販売されている事がありますが、これには要注意です。ブレーキパッドの製造ノウハウは特殊です。安価な物の中にはディスクへの攻撃性が高いモノや、パッドの異常摩耗などのブレーキトラブルが発生する可能性があります。純正パッドか有名メーカーのパッドから選びましょう。
ブレーキフィーリングを大きく左右するブレーキパッドの良し悪しは、ライダーによって異なります。色んなメーカーのパッドを使い、自分の好みにあったパッドを探してみましょう。

継続使用できるかどうかの判断はディスクを検査する必要がありますが、ブレーキディスクは制動トルク(主に回転方向)に耐えるだけの強度や剛性は確保されていますが、軸方向(ディスク取付方向)からの力にはあまり強くありません。
ディスクを取付したままの状態でホイールを地面に置いたり、壁に立て掛けたホイールがズレ落ちでディスクが地面や物にぶつかってしまったりすると、ディスクが歪んでしまうことがあります。特にフローティングディスクでインナーがアルミで作られているディスクは注意が必要です。歪んだディスクを使用するとジャダーや引きずりなどブレーキトラブルの原因になります。
一度歪んでしまったディスクを修正することはできません。ディスクの取り扱いには十分注意してください。

ブレーキディスクはブレーキパッドとの摩擦で作用します。ブレーキの性能を語る上でキモになるのは「温度」です。
通常車両メーカーが一般公道で想定するブレーキディスクの温度は~350℃程度です。ステンレス製のブレーキディスクが使用されるプロレースにおける温度領域は300~600℃程度です。(瞬間的には600℃以上にもなります)
一般公道とサーキット(レースなど)ではブレーキディスクの使用温度領域がかなり違う事がお分かりいただけると思います。レース用ブレーキパッドなどは高い温度領域で性能が発揮される様に設計されています。
ディスクはパッドとは少し求められる性能が異なります。ディスクは500℃を超える様な過酷な温度領域でも適切な摩擦を発生させ、歪むことなく継続使用できなければいけませんし、雨の中走行しても適切な摩擦が発生させなければなりません。
ディスクは幅広い使用環境の中で、常に安定したブレーキフィーリングを再現出来るディスクが良いブレーキディスクと言えます。そういった意味では、普段の愛車の乗り方でブレーキを使うことで、サンスターディスクの性能を体感していると言えます。
無理にブレーキを使うことはせず、ノーマルディスクよりも上質なブレーキフィーリングを普段から体感していただき、ブレーキングを楽しんでいただければ幸いです。

街乗りにおけるブレーキフルードの性能劣化はとても分かりずらいので、「交換しなくても問題無い」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、フルードも少しづつ性能が劣化します。長期間無交換フルードの場合ブレーキレバーを握ると、とても柔らかかったりする事があります。これは使用する上でブレーキシステムの加熱によって劣化したり、大気中の水分を吸収することで劣化します。日々の劣化は少しづつなので体感しにくいですが間違いなく劣化していきます。
劣化したフルードを使い続け、パニックブレーキの際にレバーフィーリングが悪かったり、本来の効力が発揮されないなんてことを想像するととても怖くなります。フルードは遅くとも2年に1度は交換しましょう。
ちなみにレース現場などでは、レース毎、場合によってはレースウィーク中に複数回交換することも珍しくありません。それほどレースの現場ではフルードにもストレスがかかっているという事でもあります。